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トランスの基礎について

トランスとは、電圧を変えるための基本的な電子部品です。

トランスの基本的構造は非常にシンプルで、鉄心(コアとも呼ばれる磁性材)に1次コイルと2次コイルを巻きつけた構造になっています。
コンセント(電力源)に接続する側を1次コイル、機器に接続する側を2次コイルといいます。
1次コイルに電気が流れるとコイルの働きで磁力が発生します。発生した磁力は鉄心を介して2次コイルに到達します。
コイルは外部から磁力を受けると、コイルの両端に電圧が発生して電気を流す作用が有り、これを電磁誘導といいます。

家庭で使用する電気製品は、100Vのコンセントから電源をとって利用しています。
コンセントにつながれた電気製品(冷蔵庫やテレビなど)は、その中に様々な機器が組み込まれており、それらの機器の中には100Vで動作するものもあれば、100V以外の電圧で動作するものもあります。 電気製品の各種機器の入り口にはトランスが入っていて、動作に必要な電圧に変換をしています。このトランスを一般的に、電源トランスといいます。

この電源トランスの重要な役割として、絶縁があります。
一般的な電源トランスは、入力側(1次コイル)と出力側(2次コイル)は、繋がっていません。入力側(1次コイル)の電気は電磁誘導によって出力側(2次コイル)に伝わります。
このトランスの絶縁機能によって、入力側(1次コイル)の電気が出力側(2次コイル)に直接流れることを防ぎ、出力側(2次コイル)につながれた各種機器・回路の保護及び、感電を防止します。 特に医療機器用トランスでは、この絶縁機能が必要不可欠となります。

 

トランスの基礎

電圧変換

ある電圧から必要とする電圧を取り出すことができます

(例題)100Vから5Vを取り出す場合

トランスの入力側と出力側の巻き数を電圧の比に合わせる事により、ほしい電圧を得る事が出来ます。
入力側の巻き数が200ターンで電圧が100Vの場合出力側の巻き数を10ターンにすると、5Vの電圧が発生します。
入力側巻き数/出力側巻き数=入力電圧/出力電圧=200ターン/10ターン=100V/5V という式が成立します。

極性変換

プラスとマイナスの電圧を取り出すことができます

(例題)100Vから5Vと-5Vを取り出す場合
トランス巻線には極性があります。
下図の様に●を付加して極性を示します。
入力側V1と出力側V2は同じ位置に●が有る為、プラス電圧の同極性となります。
出力側V3の●は、V1、V2とは逆の位置に有る為、マイナス電圧の逆極性となります。 この様に極性を変えることで、プラス/マイナス(正/負)の電圧を得る事ができます。

 

電力変換

電源に接続される機器に必要な電力を供給します

(例題)70Wと30Wの電力を供給する場合
トランスから複数の電力供給を行うこともできます。

①単一電力供給は、Single Output
・主な用途: スマートフォン、デジタルカメラなどのポータブル機器

②複数電力供給は、Multi Output
・主な用途: エアコン、冷蔵庫、TVなどの設置型機器

 

絶縁

家庭用コンセントのACラインと機器側との間には感電防止のため、絶縁機能を持たせる必要があります
トランスの絶縁機能によって、入力側の電気が出力側に直接流れることを防ぎ、出力側につながれた回路の保護及び、感電防止を行います

(例題)各国、各種機器ごとに感電防止を目的に、安全規格が設けられ、ACライン電圧が決められています
日本:電気用品安全法(電安法) → AC 100V

北米:UL → AC 120V

欧州:IEC → AC 220V

 

スイッチング方式

半導体をスイッチとして使い、ON/OFFを制御して出力を安定させる方式です
この方式を使った電源を “スイッチング電源”と呼び、電源に使用されるトランスをスイッチングトランスと呼びます

スイッチング電源に用いられる主な方式
疑似共振方式(フライバック方式)
フォワード方式
共振方式
プッシュプル方式
ハーフブリッジ方式
フルブリッジ方式
※主流は、疑似共振方式とフォワード方式です

 

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